カンボジアでの研究 振り返り〜内容編〜

研究

大学生3年のころ私が所属した研究室ではカンボジアでフィールドワークをすることが通例になっていた。私はプノンペンの不法占拠地区をメインにその他、シュムリアップ近くの水上集落カンポン・プロックで調査を行った。どちらも見たことのない世界で刺激的な体験だった。私のその後の価値観の礎となる体験となり、連れて行ってくれた先生にはとても感謝している。

不法占拠地区の賑わいや自主建設された住居に魅了されて卒業研究では不法占拠地区の住居、屋外空間の使われ方を研究した。

先輩の調査を引き継ぐ形で携わっており、私は調査3期目から参加した。

1.研究の背景

不法占拠地区は衛生面の問題はあるものの賑わい、コミュニケーションにあふれている魅力もある。土地の有効利用、衛生面の改善を目的とし、隣地に高層の集合住宅を建て不法占拠地区の住民を移動させる事業により地区はなくなる。(現在は既にない)

2.研究の目的

不法占拠地区の賑わいの空間的な要因を探る

自主的に形成された空間であり住民が建物を使いこなしている。賑わいの要因は様々あるが、空間的な要因は何であるかを探る。

消える不法占拠地区の記録

土地の有効利用のため都市部の大規模不法占拠地区は無くなっていく。これは一つの生活様式が無くなることと言える。記憶の継承として記録する価値がある。

3.調査対象

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3-1.調査地

カンボジアの首都プノンペンは内戦により無人化した。終戦後、農村から帰還した人々が家を求め住みついた。ボレイケラ地区(現在は移転完了)は内戦以前に建設されたオリンピック村とその周辺を移り住んだ人々が不法占拠した地区である。

3-2.気候

真上からの日照りが厳しいが、以外と風があって涼しい。

雨はスコールの様に短時間、頻繁に降る。長雨には出会わなかった。

4.調査内容

4-1.住宅の図面採集

・平面図、断面図をとり間取、構造を把握する。(住居図面の多くは先輩の調査に依拠している)

4-2.屋外の図面採集

・平面図をとり水回りとして利用されている水瓶の位置などを記録する。

4-3.生活に使う場所の聞き取り

・部屋ごとの利用実態の把握

・家族構成誰がどこを使うかを把握

・人ごとの寝る部屋序列の有無の把握

4-4.屋外の活動の記録

・地区内の性格の異なる道で人の活動を定点観測

5.住居の構成

・既存の建物を利用した住居と自ら建設したものがある。以下は後者について書く。(居住者の移り変わりが頻繁なため、建設した当人が住んでいるとは限らない。)

・住居は4角に柱を建て、トタン、バナナの皮を編んだもの、ビニールシートなどを外壁にしている。煉瓦造も少ないが見られた。屋根は主にトタンである。

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・住居の大きさは多様である。最小のものになると寝るだけの部屋もしくはイマのような部屋だけのものがある。

それが最低限住居に必要な部屋であり、大きくなるにつれ、寝室、水浴び場、トイレが付いていく。調理場はイマのような部屋の一画、または通路にあることが多い。調理場は外にもある。外をメインとし中のは滅多に使わない例もある。外部化できることや排煙の問題から住居内に必ず必要とはされていない様である。水浴び場、トイレもそういった性格がある。トイレは下水管が整備された場所でしかつけられないので、ない住居の人は共用トイレを利用する。水浴び場も共用されている。水瓶が置かれ簡易な目隠し壁が建てられている。雨水を貯めている。

6.屋外の構成

屋外空間は大きく4種類に分けられる。4種類の屋外空間で行動調査を行った。

屋外には上述の通り住居機能がある。

面する住居から軒が出ており、軒下に露台が置かれている。

7.屋外での活動実態

・家事、商売、娯楽など多様な行動が見られた。

・行動を「社会行動」、「必要行動」、「個人のくつろぐ行動」にわけると個人のくつろぐ行動がどの空間パターンでも見られる。外に居ることが常態的である。

・子どもの世話をする、授乳するといったプライベート性の高い行為も見られる。

8.住空間としての外部

・生活に必要な行為の場として住居前の外部を使うのが当たり前になっている。

・水回りが住居を出て210m程度先にあるため、その間の道も私的な空間として認識されていると思われる。

9.まとめ

賑わいの空間的な要因として以下が考えられる。

・住居は寝室の確保が優先され、外部化できるもの、せざるを得ないものは外が使われる。

・生活の場として道を日常的に使うことから、道が道としての公的な性質と生活行為を行う私的な性質の両方をもつ空間となっている。

・生活行為を通行人が目撃することとなり、会話が発生しやすい。

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