当方の設計によるリフォームで住環境を改善した事例を紹介します。
物件は大木町にある、築50年ほどの鉄骨2階建の店舗併用住宅です。
商店を営み昭和後半に3世代9人ほどが暮らした家で大勢が暮らしていたこともあり部屋が多く、廊下も長く、風通しの悪い間取りで、夫婦2人(70代)になった今では使わない部屋も多い状態になっていました。一部の部屋の床の不朽が発覚したことから修繕が必要になり、今後のことも考えリフォームをすることに。
リフォーム前の問題点
①窓のない闇の部屋があり、そこの床が腐っている。
②脱衣洗面所のスペースが細長く使いにくい。洗面台で窓が塞がれて暗い。カビくさい。
③システムキッチン、テーブル、食器棚の置かれた台所は狭く使いにくい。ものが多く食事もできない。
④車が停められない中途半端な広さのガレージがあり使われていない。
⑤居間が狭くモノで窓が塞がれ、風通しも悪い。
⑥2階の寝室から1階のトイレまでが遠い。
⑦全体として壁紙が汚れ清潔感がない。プリント合板の壁が古臭さを際立たせている。
⑧全体にものが多い。
解決方法
A.問題点①②③④に対して
間取りを変更。闇の部屋であった空間を脱衣洗面所、台所、ガレージに分配する。
そのため傷んだ床、壁、天井を部分的に解体し、新たな位置に床、間仕切り、天井を作る。給気口、換気扇も新設する。
B.問題点⑤に対して
間取りを変更。廊下と居間の境の壁を撤去し、廊下の広さを居間に取り込む。
間取り変更に伴い出入り口の新設をしつつ風通しを向上させる。
C.問題点⑥に対して
寝る部屋をトイレの隣の部屋に変えてもらう。そのため押入れを潰して部屋を広くする。トイレの位置を変更する案もあったが、工事金額が嵩むため不採用。
D.問題点⑦に対して
工事する部屋について壁紙、一部フローリングを撤去新設する。
E.問題点⑧に対して
おもいきって大量に捨てる。
効果
A.について
洗面脱衣が4畳の広さになったことで、夫婦のタンスが置けるようになり洗濯物の収納が楽に。窓を塞いでいた洗面台の位置をかえて明るい空間に。
台所も広がり料理が趣味の奥様が広々利用できるようになり、テーブルで食事も可能に。
ガレージは車を停められる広さとなり、雨の日も濡れることなく出かけられるように。ガレージから台所への勝手口をつけたことで荷物の移動が楽に。通気窓のついた勝手口にして通気性も向上。
B.について
窓を塞いでいたソファーを別の位置に広々と置けるようになり、窓を開けるとスムーズに風が通るように。以前のカビくささもなくなり、気の滅入る部屋から、長居したくなる空間に変貌。以前は廊下を挟んで仏間に入っていたが居間と直接つながり、仏間の分も広さが感じられるように。
C.について
生活の動線が短くなり便利に。押入れが1つ減ったが二人暮らしには足りている。暮らし方を変えることで工事内容が簡単になり金額が抑えられた。
D.について
部屋が明るくなった。雰囲気もよくなり心機一転した。
E.について
暮らしを改める最良の方法と断言できる。リフォーム以前にこれをしないと始まらない。モノだらけの部屋では理想の暮らしを考えることもできない。業者に依頼する場合、小分けにせず、一気に大量に依頼する方がお得である。
内装選択のテクニック
家具を調和させる
以前の食器棚(濃い茶色の木目)を引き続き利用するが、壁紙全てを白にすると食器棚が浮いてしまう。食器棚を置く背面の壁紙を食器棚に近い濃い色の木目調として関係性をもたせ、食器棚をその場に馴染むようにした。その他の壁、天井は薄いグレーとして木目調の壁とコントラストが強くなりすぎないよう配慮した。
壁にアクセントをつける
南側の隣家が近いため、日中も若干くらい。そのため全体に白系の壁紙を採用。ソファーに座った時に一番視線を向ける壁面のみ凹凸を強めにした珪藻土塗りとした。壁を照らすブラケット照明を設置して凹凸を際立たせ視線を向けられるアクセントのある壁にした。
リフォームにおいては木部が新旧入り混じるため1つの部屋にいろんな色の木が混在しがちである。それらに一体感をもたせるため、フローリングはあえていろんな色を含んだものにした。
まとめ
風通しの悪さ、空気の淀み、カビ臭さ、は部屋や廊下が多すぎることや換気扇がないことによるかもしれません。部分的な解体、部屋の連結、換気扇の追加などよって解決する可能性があります。
お客様には大変満足いただけたようで、一年経った今でも「どこにいても気持ちいい、すっごく幸せ。」とおっしゃっていただいています。部屋の雰囲気を保ちたいようで、整理整頓をこころがけ、モノを増やさず、リフォームが終わった時のままのスッキリさが保たれています。風通しをよくし、見た目もスッキリさせると住み手の心持ちもかわるのかもしれません。