大野教会堂

建築探訪

設計:マルク・マリー・ド・ロ神父

施工:ド・ロ神父と信者

1893年竣工

2004年解体修理施工

2008年国の重要文化財

所在地:〒851-2427 長崎県長崎市下大野町2619

教会は高台にあり麓の市営の駐車場から歩いて5分ほどで行ける。

地産の石である玄武岩の割石を漆喰で固めた壁(通称:ド・ロ壁)の上に木造の屋根を乗せている。石造りの文化のない地域で石造りをした稀な建築と思う。

地形なりに西を正面にしている。正面写真左側(北側)の1段高い屋根がかかる部分が会堂部、右(南側)が司祭室部。

両端と会堂部がド・ロ壁で司祭室の一部は板張りになっている。全てをド・ロ壁にせず分節化したこと、屋根を分節化したことで大きく見えすぎる事が避けられて景観にあったスケール感である。両側に重量感のあるド・ロ壁がみえることで見た目のバランスも良い。ド・ロ壁は風雨対策としても機能していると思われる。

正面 構成

正面坂から

アプローチ

ド・ロ壁

出津集落のド・ロ神父記念館(元いわし網工場)とエントランスが類似している。風除けのよう。

アプローチのみ白い漆喰が塗られている。内部が白いためと思われるが、外観のアクセントにもなっている。

エントランス

フライングバットレス(ゴシック様式の教会に見られる構造部材)を彷彿とさせる登り梁。(ド・ロ神父はフランス人)

エントランスの登り梁

玄武岩に瓦、煉瓦に似た色があるせいか瓦と煉瓦が混在しても全体として色に統一感がある。

西洋の建築要素であるアーチに日本の建築要素である引き戸を付けているところも面白い。

正面窓(背面も同じ構成)

寄棟屋根の端部側が伸びる形は長崎地方の民家の典型とされる国指定重要文化財旧本田家住宅(長崎市、江戸中期)にも見られるが影響を受けた形だろうか?

南面

端部が伸びていることで屋根の出隅の収まりが他ではあまり見ない形になっている。和風に見えすぎないのはこの収まりのせいか?

屋根出隅

歴史的建築にはあまり興味のない設計の人にもおすすめできるかっこよさがある。

ド・ロ壁、アーチ窓といった西洋の建築要素をうまく地元の建築に混ぜ込んで独特の雰囲気をつくりだしている。

マリア像

概要

線海沿いの大野教会への道、202号は景色がよくドライブにおすすめ。

夕日が綺麗だそうだ。

大野教会の近くにはド・ロ神父が活動した出津の集落があったり、遠藤周作文学館があったり、その隣の道の駅では地元の食材が売られていたり、と見所も豊富。

周辺の景色

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